6月16日(日)、『ハムおじさん』(徳間書店)の作者 大桃洋祐さんをお迎えして、ギャラリートークを開催いたしました。大桃さんのファンの方で、会場は賑わいました。
数々の受賞歴を誇る人気アニメーション作家、イラストレーターから絵本作家にもなられた大桃さんの作品の歩みと絵本の制作についてお話をお聞きしました。
絵本とは大学院の卒業制作でアニメーションをつくっていた時に資料として出会い、とくにチェコの絵本がお気に入りだったそうです。『ガンピーさんのふなあそび』『はるなつあきふゆ』などの初期のバーニンガムの作品や「マドレーヌ」シリーズのベーメルマンスの作品も好きでした。
自由奔放な絵に惹かれ、写実的ではない方向性の絵を描きたいと思ったそうです。
大桃さんの作品集「ぼくの街においでよ」(2018年)「君がベッドで眠るころ」(2020年)「どこかで鈴の音がする」(2022年)「Good Neighbor」(2022年)「DANCE LESSON」(2021年)「Oops」(2022年)「BOOKS」(2022年)「Swim in BLUE POOL」(2023年)「クリスマスの子どもたち」(2023年)を紹介しながら、大桃さんの作品の歩みをお話しくださいました。街やそこで暮らす人々、本や本のある空間、自然、クリスマスなどモチーフも様々です。
これらの作品の中で2020年11月に初めての絵本『ぼくらのまちにおいでよ』(小学館)が刊行されました。街の生活がテーマとなりました。2冊目の絵本は、2021年10月にでた『ハムおじさん』(徳間書店)。アニメーション作家であることを表現したいと思ったそうです。
徳間書店の編集者 高尾健士さんは大桃さんのアニメーションの「GOKIGEN」シリーズの「スープが美味しく出来た人」を見て、小さな動きにもユーモラスがあり、日常の中におきた小さな出来事のおかしさが表現されているのがいいなと思いました。
丸々とした人を描くのが好きだった大桃さんに、「おじさんの絵本はどうでしょう」と声をかけました。大桃さんもおじさんの魅力的で面白いポーズを描きたいと思い、「異時同図絵」同じ場面に異なる瞬間の絵を描く手法を使うことにしました。アニメーション作家の大桃さんならではの描き方です。
実際のハムおじさんの作画の映像を見せていただきました。アクリルガッシュで色をつけ、色鉛筆でハムおじさんにヒゲや目が描き加えられていく様子に、皆さんからはため息が!
今回の展示でチャレンジしてくださったリソグラフ作品についてのお話もお聞きしました。
フランスの童話「ペール・カストール」シリーズなどの多色刷り版が味があっていいなと思い、チェレンジしました。今回は4色を使い、色ごとに版をつくりました。印刷した状態で完成とする。ちょっとしたズレ、ズレたところの色が面白いと大桃さん。今回は「雨と子ども」をテーマに5つの作品を作ってくださいました。どれも色鮮やかで雨の日が楽しくなる作品ばかりです。
カラフルな作品たち
お話の後は、サイン会。
ピンクのうまのサコッシュにもサインを!
作品集ごとに異なる絵を描いてくださいました。
サインを描く様子をじっと見つめる女の子
高尾さん(左)大桃さん(中)種村(右)
大桃さんの原画を見ていると、おしゃれで素敵なだけでなくあたたかい視線を感じます。愉快な気持ちになってきます。大桃さんご自身の自然体で飾らないお人柄がにじみ出てくるのでしょう。今回、大桃さんのお話を伺い、そのことを実感いたしました。
大桃さんのたくさんの素敵な作品集を拝見すると、このテーマの絵本が見てみたい!という絵本のタネがいっぱいあります。絵本を含めてこれからの作品がとっても楽しみです。
大桃洋祐さん、徳間書店の高尾健士さん、ご参加くださった皆さん、ありがとうございました。
原画展は、6月23日(日)まで。
皆様のお越しをお待ちしています。