7月28日(日)、平澤朋子さんをお迎えしてギャラリートークを開催いたしました。
最初に、『双子の星』(一)のお話をライアーアンサンブル 「アンジェリカ」の縄香さんの朗読と宮坂麻里さんのライアー演奏で味わっていただきました。
その後、平澤朋子さんの絵本作りのお話をお聞きしました。
まず最初に、「このお仕事の依頼があった時にどのように思いましたか」という質問に、朋子さんはハードルが高く壁が目の前にできたようで、どこからその世界に入っていったら良いのかわからずとまどったと話されました。
そのような状態からどのようにその壁を乗り越え、作品を作り上げていったのでしょうか?
まず、画材と画法について。
水彩絵の具、顔彩絵の具、を組み合わせているとのこと、アルコールマーカーのコピックで双子の髪や洋服を描いているそうです。刷毛を使ってステンシルの画法も。
まずは、ページ割りのためにテキストを手書きで書き写しました。書き写しているうちに何かきっかけをつかむことができたらいいなと思いで書き写したそうです。
主人公の双子のキャラクターについても、編集者さんと様々なやり取りがありました。悩んでいる朋子さんに編集者さんは、エルサ・ベスコフとジビュレ・フォン・オルファースの絵本を紹介しました。朋子さんもどちらも好きな作家さんだったので、小さいけれど洋服を着て働いている妖精の姿から、笛を吹くというお仕事をしている双子の童子のキャラクターがイメージでき、絵本の中のチュンセ童子とポウセ童子がようやく誕生しました。主人公の双子が決まると、その子たちが遊べる世界を描けばよいのだと思え、脇役たちもどんどん想像できていったそうです。
ベスコフとオルファースの絵本
その後、編集者さんとのやりとりで変わっていった見開きのシーンのお話を画像を見せていただきながらお聞きしました。編集者さんとのやりとりを通して、懐の深い賢治さんの世界の中で、自分の解釈をしてもよいことがわかってから、目の前の壁がだんだん低くなり楽しくなっていったと話されました。
ラフから本描きになるまでの変遷を語る平澤朋子さん
平澤朋子さんが宮沢賢治の世界とどのように向き合い、『双子の星』を創り上げていったのか、その真摯な姿勢に心を打たれました。
そして、最後は宮坂麻里さんの奏でる「星めぐりの歌」などのライアーの澄んだ音色に包まれた中、トークイベントは終了いたしました。
笑顔がやさしい平澤朋子さん
原画展は、8月4日(日)まで。
皆様のお越しをお待ちしています。