8月29日(木)、ささめやゆきさんの『すなはまのバレリーナ エリアナ・パヴロバのおくりもの』(川島京子・文 のら書店)絵本原画展が始まりました。
約100年前、ロシアから亡命して日本にバレエを伝えたバレリーナ、エリアナ・パヴロバ。鎌倉の七里ヶ浜を舞台に、バレエに人生を捧げたバレリーナたちの物語です。
「どこへいっても、なにももっていなくても、身につけたおどりが一生の財産よ」
1917年のロシア革命によって故郷を追われたエリアナさんはお母さま、妹のナデジダさんと日本にたどり着きます。そして、鎌倉・七里ヶ浜の海辺に、日本で初めてのバレエ学校「パヴロバ・バレエスクール」を立ち上げました。「日本バレエの母」と呼ばれたエリアナさんは、1941年に慰問先の中国で亡くなりますが、妹のナデジダさんが1982年になくなるまで40年もの間、ここでバレエの指導を続けていました。
エレアナさんのバレエ学校で学んだ橘秋子さん、そして娘の牧阿佐美さんは、日本のバレエ教育に生涯を捧げ、日本を代表するバレリーナたちを育て上げました。
バレエ ー バレエだけではなく、あらゆる芸術は、ひとびとのあいだにあるちがいをこえて、ひとをささえてくれるものだと思います。 (本文より)
この物語は、牧阿佐美さんがお母さまの橘秋子さんからパヴロバ・バレエスクールの思い出話を聞くストーリーで展開しています。
そして、物語の奥行きを広げる力強いささめやゆきさんの絵から、バレリーナたちの熱い思いが静かに伝わってきます。
凛とした佇まいが美しい川島京子さん(のら書店さん撮影)
原画展初日にいらしてくださった著者の川島京子さんから、エレアナさんのお話をお聞きしました。今回、「展覧会によせて」というメッセージをいただきました。ぜひ、ご覧ください。
川島京子/著 早稲田大学出版部
2012年に刊行された川島さんの著作本です。エリアナさんの功績、日本のバレエの歩んできた歴史を知ることができます。
『すなはまのバレリーナ』はサイン本です。ささめやゆきさん の他の著作本もたくさん並んでいます。そして今回、ささめやゆきさんの版画も展示販売しています。素敵です!
当店のお客さまにもバレエを習っているお子さんがいますし、バレエの発表会のプレゼントにと絵本を探しにこられる方もいます。世界バレエフェスティバルが東京で開催されるなど現在のバレエ人気は、エリアナさんをはじめ、牧阿佐美さんなどたくさんのバレリーナの皆さんの「次に伝える」という強い意志があったからこそだと知りました。
そしてまた、今の混沌とした世界情勢の中で、エリアナさんの物語が決して過去のものではないことに胸が痛みます。
原画展は、9月15日(日)までです。
皆様のお越しをお待ちしています。