9月7日(土)、残暑の厳しい中、ささめやゆきさん をお迎えしてギャラリートークを開催いたしました。当店では、初めてのささめやゆきさんのトークイベント、ご近所さんはもちろん遠方からもたくさんの方がお集まりくださいました。
まずは、ささめやさんの画業の始まりのお話から。
毎朝、逗子から横須賀線で通勤していました。窓から煙が立ち昇る工場の景色を見ているうちに絵を描いてみようと思ったのが24歳の時。新品のスケッチブックに向かうと、4枚のスケッチが描けたので、すぐに30号のキャンバスを買い、油絵を描き始めました。でも、なかなかうまく描けません。3ヶ月くらい経った時にもうやめようと思い、絵の具をぐちゃぐちゃに混ぜてキャンバスに塗りました。そして、部屋の電気を消しに行き、振り返った時に目に飛び込んできたキャンバスの絵は、まさしく自分が最初に描こうと思った絵だったのです。その一瞬が嬉しく、高ぶった気持ちを抑えきれなくて逗子の街を歩き回ったそうです。その後、もう一度描こうとしたけれど、意識すると全然描けなくなったと語るささめやさん。
それから、勤めていた会社を辞めることになったこと、そしてシベリア鉄道経由でフランスに行ったこと・・・ささめやさんが歩まれた日々のことを淡々とお話くださいました。
『すなはまのバレリーナ』のあるページに、パリ時代にささめやさんに人生のことを教えてくれた友人がさりげなく登場。
ささめやさんの版画集『細谷正之版画集 ささめやゆき』(架空社)
フランス時代にとてもお世話になった大家さん夫妻の絵本『マルスさんとマダムマルス』。この人たちの絵本を作りたいと思ったが、刊行されたのは村を出てから25年後のことでした。
小学館絵画賞を受賞した『ガドルフの百合』(MOEのち偕成社)
『あるひあるとき』(あまんきみこ・文)では、のら書店さんとの古いエピソードのお話も。
『すなはまのバレリーナ』のエピソードも。
鎌倉の川喜多映画記念館での企画展「バレエ映画の世界」でエリアナ・パヴロバの特集を見た編集者の佐藤友紀子さんは、パヴロバの人生自体がドラマチックで絵本にしたいと思いました。文章はパヴロバさんの弟子の牧阿佐美さんの教え子で研究者の川島京子さん、絵は展覧会のポスターを描いたささめやゆきさんにお願いしました。パヴロバさんのバレエ教室のあった七里ヶ浜に行ったり、創作のエピソードをお話くださいました。
「一番気に入っている絵は?」という質問にささめやさんは「表紙!」と即答されました。背景の色は、お母様が好きだった色とのこと。素敵な色ですね。
ご自身の数々の著作本を通し、ささめやさんご自身の人生哲学を語ってくださいました。
和やかなサイン会
おしまいに、『ちきゅうパスポート』(BL出版)の紹介がありました。
24人のえほん作家から地球の子どもたちへ贈る想像の国々。国境を超えて心をつなぐジャバラ絵本です。
地球の子どもたちに、地球上どこの国にも自由に行けるということ。みんなつながって、なかよくなれるということ。あなたたちは自由だと伝えたいという思いから生まれた『ちきゅうパスポート』です。
24人のえほん作家の中の石川えりこさんとささめやゆきさん
ジャバラ絵本なので、全部広げるとなが〜い絵になります。となりの絵と手をつないでいるように描かれています。
この絵本の収益の一部を、ウクライナの子どもたちの支援のために寄付するとのこと。
皆様もぜひご覧ください。
来年春に当店で原画展をする予定です。かなり先ですが、どうぞお楽しみに!
昔からささめやゆきさん の絵が大好きだった私、ささめやさんの絵のどういうところが好きなのか言葉にできなかったのですが、ささめやさんのお話を伺い、絵の奥にささめやさんの生き方、ひたむきさ、純粋さ、自由なこと・・・そんな奥深い世界を見ていたのだと気付くとともにたくさんの感動と勇気をいただきました。
ささめやゆきさん 、石川えりこさん、のら書店の佐藤友紀子さん、参加くださった皆さん、ありがとうございました。
原画展は、9月15日(日)までです。
ぜひお出かけください。お待ちしています