11月16日(土)の午後、『でんしゃにのって うみへいったよ』(こどものとも年中向き8月号)の作者 岡本雄司さんをお迎えしてギャラリートーク&サイン会を開催いたしました。お天気にも恵まれ、中庭を開放して行いました。
最初に、子どもたちと『でんしゃ すきなのどーれ』(福音館書店)で遊びました。
子どもたちの電車の知識にびっくり、様々な電車の名前が出てきました。やはり新幹線やドクターイエローは人気です。
皆、自然と前に出てきて真剣に選んでいます。かわいい〜
子どもたちと遊んだ後は、『でんしゃにのって うみへいったよ』のお話です。
『でんしゃにのったよ』(福音館書店、2013年)では、主人公の男の子が東京に住むいとこの家まで、3つの電車を乗り継ぐ様子を描いた物語で、今回はその姉妹編として作られました。
この絵本は、岡本さんが子どもの頃、お父さんに連れて行ってもらった時の記憶が元になっています。湘南で育った岡本さん、辻堂から電車を乗り継いで藤沢でお昼にラーメンを食べて帰るという体験が嬉しく、その感動をいつか絵本にしたいと思っていたそうです。小さくて古い江ノ電と近代的なモノレールが印象的だったとのこと。子どもの時は随分遠いところを回っていたと思っていたのですが、大人になってみると実は近いところを回っていたことに気づいたと話す岡本さん。
電車や建物などのアウトラインは木版画で制作し、色紙や彩色した紙に刷ったものを切り貼りするという技法の話には皆さんびっくりしていました。いったん版画で線を決めてしまうというのが自分には合っていると岡本さん。単純に描いているのにリアルな絵を目指しているそうです。
電車や線路などのサビや汚れもきちんと表現したくて、サビや汚れの紙を作っておいて切って貼っているというお話からも岡本さんのこだわりが伝わってきました。
「お日様にあたってキラキラしている海はどうやって描いているのですか?」という会場からの質問に「いい質問ですね!」とおっしゃり、刷毛で何枚も描いたという海の紙を見せてくださいました。
他にも、「窓の中に写り込んでいる人はどうやって描いているの?」「背景はどのように描いているの?」など、会場からの質問にも丁寧に答えてくださいました。
そして、福音館書店の担当編集者の関根さんが、構図をはじめ隅々までの岡本さんのこだわりをお話しくださいました。
トークの後のサイン会も大盛況で、一人一人に好きな電車を描いてくださいました。皆さん、大感激!
岡本さんの電車絵本の制作技法をお聞きすると皆さん驚くのですが、岡本さんご自身はそんな苦労は微塵も見せず、子どもたちに絵本を楽しんでもらいたいとおっしゃいます。
細部までのこだわりと、決して手を抜かない岡本さんの創作の姿勢に感銘を受けました。だからこそ、子どもたちから愛され続けているのでしょう。
岡本雄司さん、編集者の関根さん、福音館書店さん、ありがとうございました。
参加くださった皆さんもありがとうございました。
原画展は、12月1日(日)まで。皆様のお越しをお待ちしています。