6月14日(土)、庭師のリパが、人々と出会い、美しい庭を作るシリーズの作者 福井さとこさんをお迎えして、ギャラリートークを開催いたしました。福井さんは滋賀県からお越しいただきました。
この日は、たくさんの画像やアニメーション動画を見せていただきながら、お話が始まりました。
まずは、スロバキアのお話から。
スロバキアは有名なブラチスラヴァ世界絵本原画展を開催しており、国家予算を組んで絵本出版をしているように絵本に力を入れている国です。芸術が身近にある国だとお話しされるさとこさん。
スロバキアの街の風景、伝統料理など食べもののこと、あまり外食はせず、家での暮らしを大切にしているとのこと。自然を愛する素朴な人々の暮らしが伝わってきました。
アニメーションを専攻していた京都嵯峨芸術大学(現・嵯峨美術大学)に在学中、図書館でスロバキアの版画家ドゥシャン・カーライ氏の『不思議の国のアリス』を見て、魅了されました。歴史上の人物かと思っていたところ、その後、滋賀県立美術館でカーライ氏の展示を見て、ブラチスラヴァ美術大学で教えていることを知り、カーライ氏のもとで学んでみたいと思いました。2011年の東日本大震災の時、会社のパソコンで震災の被害を知り、ショックを受けるとともに、自分がこのままでいいのかと思うようになったそうです。
その頃、ウェブデザイナーとして働きながら、アニメーション作家としても制作活動をしていて過酷な生活を送っていました。2013年にスロバキア在住の降矢ななさんが企画した「手から手へ展 絵本作家から子どもたちへ 3.11後のメッセージ」を見て、動き出そうと決心しました。
その後、降矢ななさんのお世話になりながら、2014年にスロバキアに留学することができました。
カーライ先生の教えを受けるには、外国人聴講生ではだめだったので、3か月間必死でスロバキア語の勉強をしました。そして、大学院の試験に受かり、念願叶ってカーライ先生から版画を学ぶことができるようになりました。スロバキア語を教えてくれたのは、リパのモデルでもあるルームメイトのミルカでした。
カーライ先生の指導法、シルクスクリーンの技法、リパシリーズの制作エピソードなど、お話しくださいました。
カーライ先生からいただいた幸せを循環させるのがだいじだと思っているので、子どもたちにシルクスクリーンのワークショップをしているそうです。
「日頃のふとした小さい感情をないがしろにはせず、ある日それが確信に変わる時があるので、その時は思い切り舵をとります。」という言葉が心に響きました。スロバキア留学の決心も確信に変わったからなのですね。
さとこさんの美しい色彩が、お母様の影響で色遊びを楽しんでいた幼い頃から培わられたものであることも知りました。カーライ先生から「さとこは色の魔術師だね!」という言葉をいただくとは、さすがです!
どんな子どもだったのか、子どもの頃の愛読書・・・参加者の方からの質問にも丁寧に答えてくださいました。
心に残る言葉がたくさん! 元気をいっぱいもらえた1時間でした。
やわらかくおっとりした語り口のなかにも、芯がしっかりしたぶれないお人柄が伝わってきました。これからの作品がますます楽しみです。
福井さとこさん、のら書店さん、ありがとうございました。
参加くださった皆さん、ありがとうございました。