7月18日(土)『海でつばさを手に入れる』(理論社)の作者でクジラの研究家・中村玄さんと画家で科学イラストレーターの箕輪義隆さんをお迎えしてギャラリートーク を開催いたしました。
理論社の編集者・森田直さんの進行で、絵本ができるまでの舞台裏をお話くださいました。
中村玄さん(中央・左)と箕輪義隆さん(中央・右)
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きっかけは、2021年中村玄さんの『クジラの骨と僕らの未来』(理論社)が出た後に、当時の編集者さんから絵本をかいてみませんかと声をかけられたことで始まったクジラの進化の物語。
「パキケタスが見た夢」
今から5300万年前、恐竜が絶滅し、哺乳類の時代がやってきました。水辺で生活するパキケタスは走ることも木登りも得意でなく、ましてや空を飛ぶこともできませんが、魚を捕まえることは得意でした。そんなパキケタスがどのようにして水辺で自分の活路を見出していったのかをテーマに描いていくことになりました。
月のきれいな夜、空を飛ぶコウモリの祖先を見上げながらパキケタスはどんな夢をみたのでしょうか?
ストーリーを書くときに難しかったのは、主人公がどんどん変わっていくことでした。DNAのみを引き継いで変わっていった主人公をどのように描いていったらよいのかを編集者さんと相談しながら物語にしました。
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「絵を箕輪さんにお願いしたい。」
ストーリーができ、絵を誰にお願いするのかというときに玄さんの中では、箕輪さんが頭に浮かびました。箕輪さんといえば「鳥」を描くイラストレーターで有名です。箕輪さんの『かるがものクッカ』(かんちくたかこ・文 アリス館)を見て、鳥の目がいいなと思い、鳥の温もりも感じることができたし、背景についても細かく描かれていて、自分がそこに入り込んでいるように思えたと玄さん。パキケタスなど何千万年前に生きていた古生物をあたかもそこにいるかのように復元してくれる人に描いてもらいたいと思っていたので、箕輪さんにお願いしたいと編集者さんに希望を伝えました。
箕輪さんは、以前に一度ハクジラの化石から復元画を描いたことはありましたが、古生物やクジラの絵の依頼に驚きました。
たくさんのラフスケッチを見せていただきました。
生きものや植生を描くために、専門の研究者に聞き、中東あたりの哺乳類の種類を書き出したり、植物も論文にあたって調べました。
化石の復元画も生き生きとした生きものとして復元したいと描きました。
実際に見ることができない古代のクジラを描くのも難しかったし、現生のザトウクジラなど巨大すぎて視界に収まらないスケールをどう描いたらよいのか、大きさを表現するのが難しかったと語る箕輪さん。
海の青も全部違うのですが、それにもちゃんと理由がありました。
科学絵本を描く作家さんや画家さんの取材や研究には、頭が下がります。真摯に向き合う姿勢に感動しました。
最後のページに登場するパキケタスがザトウクジラを見上げているシーンは、最初のコウモリの祖先を見上げているシーンと重なります。つばさを持ち空を飛ぶコウモリの祖先を見上げて憧れていたパキケタスが、体を変化させながら進化し、ついに海の中でつばさのような胸びれを手に入れることができたのです。悠久の時を経て憧れを達成することができたのですね。
“ザトウクジラの上に乗るパキケタス”のサイン
穏やかな笑顔の中村玄さんと箕輪義隆さん
おまけのスリーショット
玄さん、箕輪さん、穏やかなお人柄そのままの和やかで楽しいギャラリートーク でした。
中村玄さん、箕輪義隆さん、理論社の森田直さん、ありがとうございました。
参加くださった皆さん、ありがとうございました。








