2月9日(日)たかおゆうこさん ギャラリートーク&サイン会

2月9日(日)の午後、寒さの厳しい日でしたが、たくさんの方が参加してくださり、会場は皆さんの熱気で汗ばむほどでした。

今回は、作者のたかおゆうこさんと福音館書店の編集者 岡崎俊基さんをお迎えして、刊行されたばかりのこどものとも2020年3月号『ちいさなふたりのいえさがし』の絵本ができるまでのお話を伺いました。岡崎さんが進行してくださいました。

この本は、2月3日に配本されたばかりなのでほとんどの方が初めて手にしました。そこで、たかおさんご自身が、読んでくださいました。「字を追わないで、絵をみてくださいね。」とたかおさん。

まずは、たかおさんのプロフィールから。小さい頃はとてもシャイで、人のことを観察していたり、傍観者のような、皆とは違う世界に生きていたようです。絵を描くこと、本を読むこと、生き物を観察することが好きで、特に絵を描くことで自分の世界に入り込んでいました。

小さい頃の愛読書。小学校低学年の時にお母様が買ってくれた「世界の美術1、Ⅱ」が好きで、セザンヌ、モネ、ドガ、ゴッホなどの模写をし始めたそうです。他にも「世界のむかしばなし」全20巻のなかのインドの昔話「レモンのごほうび」が特にお気に入りで、ごほうびのレモンが割れて宝石がはじける場面の絵が好きでした。ここから、中に大切なものが入っているというモチーフが好きになったのかもしれない、と話すたかおさん。また、ポケットサイズの昆虫図鑑も好きで、持ち歩いていたそうですよ。どちらも今のたかおさんの絵本に結びついているのですね。

弟さんとのツーショットや「レモンのごほうび」のシーンなどたくさんの画像を見せていただきながら子どもの頃のお話を伺いました。

その後、グラフィックデザインを専攻した美術大学で絵本と出会いました。エリック・カール、シルヴァスタイン、レオ・レオニなどのようなシンプルなストーリーの中に人生の哲学、生きる知恵などの大切なことが伝えられる絵本を作りたいと思ったそうです。

大学卒業後、玩具メーカーで企画デザイナーとして5年間働いたそうです。実際に発売された玩具の写真やCMも見せていただきました。

結婚してアメリカに行き、出産し、その間に絵本を少しずつ描き始め、一時帰国の度に出版社に持ち込んだりしましたが、なかなか通らなかったそうです。ある出版社の編集者に「あなたには物語の書ける作家さんになってほしい」と言われて、『ねずみの家』の挿し絵を描きました。それが、『ハムスターのハモ』『ハモのクリスマス』へと繋がっていきます。

ルーマー・ゴッテン/さく おびかゆうこ/やく たかおゆうこ/え 徳間書店

その後、ドイツに暮らしていた2010年に『ちいさなふたりのいえさがし』のラフができました。最初の題名は『くるみじいさん、くるみばあさん』ですが、中身はほとんど変わっていないそうです。そして、2017年に岡崎さんと出会います。岡崎さんは、その年に福音館書店から出た『チュウとチイのあおいやねのひみつきち』を見て衝撃を受け、たかおさんに絵本を作ってほしいと思いました。最初に会った時に、たかおさんはラフの絵ではなく物語を口頭で語ってくださったそうです。果物の中に住むというのもワクワクするし、果物が腐り、破裂するというのも自然の摂理に即していて、最後にくるみの家に戻る。お話として非の打ち所がなかったと岡崎さん。そこから二人の絵本作りが始まりました。

「岡崎さんのように、未完成の絵を見て最終的な絵本を思い描ける編集者さんはなかなか少ないです」とたかおさん。「たかおさんは、自分の中にお話があって、それを絵で表現できる希有な作家さんです」と岡崎さん。

それからたかおさんと岡崎さんの絵本ができるまでの取材の様子、背景の色、綴じる糸の色・・・たくさんの細かいこだわりを、画像を見ながらお話くださいました。

実際にスイカを丸ごと買ってきてくり抜いて作ったすいかの家。

すいかの家は岡崎さんの提案で断面図にすることに。「子どもって、そこに何があってどうなっているのかを見たいのでは! 」と。

画法の話もありました。貼り絵は感覚的に絵を描くことができるそうです。それに子どもの頃からハサミが好きで一日中紙を切っていたそうで、「好き、をやりきると得意になりました」とたかおさん。

2007年に書いた『くるみのなかには』のメモを見せていただいたのですが、ちゃんとそこには「おじいさんとおばあさんが住んでいてね」とありました。そんなお話のタネから育った『ちいさなふたりのいえさがし』、取材など膨大な時間と手間をかけて作られたことがよくわかりました。

会場の皆さんからのたくさんの質問にも、丁寧に答えていただきました。ある参加者の方からの「いちごの家、すいかの家、りんごの家など自然の本当の姿と、幻想的なお話が合わさって素敵だと思いました」という感想に皆さん、頷かれました。

おじいさんとおばあさんの可愛いサインです。

ファンの方と固い握手!

物語の「タネ」が発芽し、長い年月をかけてじっくりと育ち一冊の本になっていく様子を見せていただきました。

たかおゆうこさん 、福音館書店の岡崎俊基さん、ありがとうございました。

参加くださった皆さん、ありがとうございました。

原画展は、2月23日(日)までです。

絵本と原画の違いも見つけてくださいね🦆

 

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