4月9日(土)ギャラリートーク「めくるむの絵本ができるまで」

4月9日(土)、暖かな春の昼下がり、絵本作家のスギヤマカナヨさん、はまのゆかさん、モリナガ・ヨウさんと児童書出版社「めくるむ」代表の萩原由美さんをお迎えして、ギャラリートークが開催されました。

萩原由美さんから児童書出版社「めくるむ」を設立しますという挨拶状が届いたのは、2020年11月のことでした。ひとりで立ち上げられたとのこと、その頃すでにコロナ禍でしたので、大変勇気のあることと驚くとともに「すべての子どもが本を読むことでおだやかな時間を過ごすことができるように、本をつくり、届けていきます」という高い志や心意気に感じ入り、応援したいと思いました。その後、以前から当店もお世話になっている林智子さんが営業に加わり、お声がけくださり、今回の展示となりました。

「スギヤマカナヨさん、まつおかたつひでさん、はまのゆかさん、モリナガ・ヨウさんは以前から編集者として関わりがあり、『めくるむ』という社名を決める前から相談にのっていただいていた作家さんたちです」とのご紹介がありました。『めくるむ』では、子どもに向けた本を作ろうと思ったこと、そして編集の仕事だけでなく、流通まで関わりたいと思ったこと、すぐに消えてしまう本ではなく、じっくり読者に届けたいと思ったことをお話しされました。

何のために作るのか、子どもを守るにはどうしたら良いのか、などそれぞれの作家さんたちと話し合ったそうです。そして作家さんから提案があり…

「めくるむ」第1作目は、スギヤマカナヨさんの『おやすみとおはようのあいだ』です。

キットパスで描かれたやわらかい色調のこの絵本、寝る前に楽しく幸せな気持ちになれる絵本、安心して眠りにつけるような絵本をとの想いから生まれた絵本です。それはスギヤマさんのお子さんとの体験からの想いでもあります。

安心しておやすみ、と背中を優しくとんとんしてくれるような、そっとだきくるんでくれるような絵本を「めくるむ」という出版社と作りたいと思いました。

(『おやすみとおはようのあいだ』発刊に寄せて スギヤマカナヨ)

とてもシンプルでおしゃれな表紙は、窓から見える空をイメージしたもので、ご本人もお気に入りだそうです。

「めくるむ」第2作目は、はまのゆかさんの『すくすくいのち』です。

はまのさんとは、以前から「いのち」の本を作りたいと話していました。お子さんが保育園に通っていた時、助産師さんと看護学科の学生さんたちによる「いのちのおはなし会」を聞きました。命の大切さを子どもも大人も楽しく学べる会で、その時のおはなしを参考に書き下ろした絵本だそうです。ちょうどこの絵本を製作中は第二子を妊娠中だったとのこと、妊娠、出産を挟んでの絵本の発行でした。

この絵本には、いのちの大切さはもちろん、いろんな人がハッピーに過ごしている社会を願って多様性のある画面作りにしたそうです。表紙もそうですし、街の様子もそんな想いが込められたページになっています。

原画を見ながらの読み聞かせ、贅沢ですね! 「オギャー」と産まれてきた場面がお気に入りだそうです😀

「めくるむ」第3作目は、まつおかたつひでさんの『こねこが』です。

まつおかたつひでさんは、萩原さんがポプラ社の編集者時代に『ぴょーん』をいっしょに作った作家さんです。『ぴょーん』を卒業した子どもたちに向けて絵本を作りたいと思い、自然との出会いを描く絵本が出来上がりました。「まつおかさんは、いつも子どもの目線で描いてくださってる作家さんです。」と萩原さん。

最初、もう少し大きな判型の絵本だったのですが、書店員さんのアドバイスで現在の小さい判型になったそうです。肩幅に合わせたサイズが良いとのこと、確かにそうですね!

そして、

「めくるむ」第4作目は、モリナガ・ヨウさんの『らんらん ランドセル』。この日のために先行販売となりました。

萩原さんとモリナガさんは、ポプラ社時代に『東京スカイツリー』の担当編集者と作家で、一緒に取材にも行っていたそうです。萩原さんはポプラ社時代に写真絵本『ランドセルは海を越えて』(内堀タケシ/写真・文)を編集したこともあり、ランドセルの素材とモリナガさんの画法がぴったり合っていると思ったそうです。200個の部品を組み立てて作られているランドセル、合成皮革の作り方や、ランドセルになるまでの工程もしっかり描かれており、大人が見ても興味深いです。赤いランドセルの赤を出すために印刷屋さんもインクを研究してくださったそうです。

『らんらん ランドセル』には嬉しいサプライズも! たくさんの色のランドセルに合わせて、見返しの色も6色あります。人気の色は?

トークイベントに合わせての先行販売となった『らんらん ランドセル』、たくさん並んでいます。すべてサイン本です。

皆さんのお話を伺っていると、編集者、作家、印刷屋…たくさんの「人」との出会い、信頼というつながりがあってこそ、素敵な絵本ができていくことがよくわかりました。どの絵本の根底に流れているのは子どもたちへの想いであることも。ますます応援したくなりました。

スギヤマカナヨさん、はまのゆかさん、モリナガ・ヨウさん、そして「めくるむ」の萩原由美さん、ありがとうございました。

参加くださった皆さんもありがとうございました。

めくるむの絵本は、どれもサイン本です。通販もいたします。お声がけください🦆

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