みやこし あきこ/作・絵 偕成社 本体1300円
夜の帰り道、遊び疲れたうさぎの坊やがおかあさんに抱っこされながら見た、思い思いに夜を過ごす人々の光景。ベッドに入り、帰り道で見た人々に思いを寄せながら眠りにつくうさぎの子。
いつもの よる
とくべつな よる
みんな いえに かえって
ねむりにつく
おやすみなさい
穏やかな夜のひとときを描いた『よるのかえりみち』、子どもだけでなく大人も心地よい眠りに誘ってくれることでしょう。
見返しに描かれたたくさんの窓の光景、窓の灯りの数だけドラマがあるのですね。絵本のなかにでてきた人を見つけて、さらに想像の世界が広がります。
この絵本の登場人物はみな動物なのですが、見ているうちに自分と重ねあわせています。駅のホームで電車を待つ婦人、車窓に映る顔を見てねずみであったことに気付くのです。みやこしさんの描く動物のような人のような不思議な世界、だからこそ、自分を重ねあわせて想像力が働くのかもしれません。
2016年ボローニャ・ラガッツィ賞フィクション部門優秀賞を受賞した作品です。