7月10日(日)たかおゆうこさん ギャラリートーク&サイン会

7月10日(日)、猛暑の中、『ピンクいろのうさぎ』(講談社)のたかおゆうこさん と担当編集者の長岡香織さんをお迎えしてギャラリートークが開催されました。


最初に、たかおゆうこさんが『ピンクいろのうさぎ』を読んでくださいました

「私の絵本作品は小さい頃の思い出が元になっています。」

団体の中にいるよりもひとりでいることが好きだったたかおさん、小学校1年生の時に36色の色鉛筆を買ってもらい、嬉しくていろんな色の組み合わせで並び替えたりして遊んでいました。

水彩絵の具も混ぜたりすると無限に色が作れることを知り、色で遊びたいために絵を描いていました。色鉛筆や水彩絵の具でたくさんの色がこの世にあるということを知りました。これがたかおさんの鮮やかな色の世界の原点だったのですね。

大人になって、20代後半から30代前半にアメリカで暮らし、いろんな人種、考え方があることを知るとともに自分の生き方を考えるようになったそうです。自分てなんだろうと考え、アメリカでのなんでもありの暮らしの中で、次第に自分でいいのだと思えるようになりました。そして、帰国後、日本の中にも多様性を感じ、再発見をしたそうです。そして、いつかそれを形にしたいと考えるようになりました。

そんな中、2002年6月の新聞記事に「恐竜の生態謎だらけ」という新聞記事を読んだことから、「うすむらさききょうりゅう」というお話を考えるようになりました。

『ピンクいろのうさぎ』の原型になるようなお話です。

縦にするか横にするか、線で描くか、水彩で描くかなど試行錯誤を繰り返し…幼年童話として書いてもみたそうです。

主人公も「きょうりゅう」→ 「ぞう」(うすむらさきのぞう スカイ)→「さかな」(うみのクー)と変遷していきました。その頃は時代的にも多様性がテーマの絵本はなかなか出版には結びつきませんでした。

それでもたかおさんは、考え続けます。

そして、2017年に『くるみのなかには』(講談社)が刊行後、担当編集者の長岡香織さんが加わりました。主人公も「うさぎ」(うさぎのぴょん)になりました!

そこからもたくさんのラフを作り…長岡さん曰く、たかおさんは「推敲の達人」なんだそうです。文だけでなく、絵の中の推敲も繰り返します。

画法も切り絵になりました。


こんなにたくさんのうさぎたち、まだまだこんなものではないようです。どれだけのうさぎを切ったのでしょうか。

一頁一頁の意味や絵に関しても試行錯誤を繰り返して作られたことをお話しくださいました。最後のページにも深い思いを込めました。

こうして、ぴょんは いろいろな いろの うさぎたちと

ずっと いっしょに くらしました。

この言葉と絵に思いを託し、あとは読者に委ねたいと考えました。

たかおゆうこさんが作品に誠実に向き合われていることがお話から伝わってきました。

このように作られた絵本だからこそ、小さな子どもから大人まで読むことができる奥深い絵本であることに納得できました。大人になるにつれて人生経験が加わり、より深く感じることができるのですね。

文章や絵作りを絶えず繰り返しているたかおさんですが、「共感してくれる編集者がいないと作れないのですよ」という言葉が印象的でした。良い作品には、必ず一緒に伴走してくれる編集者がいるのですね。『くるみのなかには』『ピンクいろのうさぎ』そして、第3弾の作品の予定もあるそうですよ。楽しみです。

最後に、たかおさんから「皆さんは何色のうさぎになりたいですか?」という問いかけがありました。参加者一人一人に答えていただきました。白、ピンク、グレイ、みどり、きいろ、オレンジ、水色、あお、白に黒のドット、透明… それぞれに理由もあって、とても興味深く、ワークショップのようでした。

たかおさんが用意してきてくださった色とりどりのうさぎたち、皆さんが野原に放ってくれました🐇

『くるみのなかには』が、最近中国や韓国でも刊行されたそうで、その紹介もありました。

中国版(左)と韓国版(右)

中国版の表4には、偶然にもたかおさんが大好きなウィリアム・ブレイクの詩が掲載されています。すごいことですね! どちらも原書を大切にしていることがよくわかります。是非、手にとってご覧ください。

お話の後は、サイン会。

4年前の「プリンちゃんのハロウィン」パーティーにも参加してくれた女の子、小学3年生になりました。

たかおゆうこさん(中)と編集者の長岡香織さん(右)

いつもお洒落な たかおゆうこさん

「色にはパワーがあります」とおっしゃるたかおさん。気持ちを色に置き換えてみると、心が動くかもしれませんね。

今回、参加者のなかに若い作家さんも何人かいらしたのですが、たかおさんの人生と時間をかけた誠実な作品作りのお話は、大きな励ましになったのではないでしょうか。

私は、一つの作品に20年という歳月をかけて向き合い、それも絵本になるという確証もない状態で考え続けてこられたたかおゆうこさんにただただ感動しました。

たかおゆうこさん、講談社編集の長岡香織さん、ありがとうございました。

参加くださった皆さん、ありがとうございました。

会期は7月31日(日)です。

たかおゆうこさん 在廊日は、7月30日(土)15時からです。

原画と絵本の違いも探してみてください! お待ちしています🦆

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