1月17日(土)の午後、石川えりこさんをお迎えしてギャラリートーク &サイン会を開催しました。
赤いセーターがよくお似合いの石川えりこさん
講談社
本のカバーをとると、中には緑の表紙が!「タラブックスの本みたいでしょ?」とにっこり。シンプルな緑の表紙に「The Fox Tree」とタイトルが書かれています。「カバー表紙に英語表記があるのは、英語圏の子どももいるのでタイトルに英語が入っているとどんな本かしらと手にとってもらえるかなと思って」と石川さん。おしゃれな装丁は、タカハシデザイン室。
『きつねの木』で自然のことを描きたいなと思い、動植物のことを調べるために何回か博物館に取材に行きました。博物館の壁いっぱいに描かれた桜の木に「1本に300以上の生きものが生きています」と書いてあり、標本もいっぱい展示されていました。桜の木を大切にすることは300以上の生きものを大切にすることになるのです。
小さい子どもたちが近くの公園に行った時に、そこにある桜の木には300以上の生きものが存在することを知り、成長するにつれて理解が深まっていくといいなと思いました。この桜の木の話を絵本にしたいと思ったのです。
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次に『ほんやねこ』のお話。
『ほんやねこ』のカバーをとると真っ赤な本が現れました。
この絵本は、ピノキオやチルチルミチル、シンデレラ、ラプンツェル・・・たくさんの物語の主人公たちがほんやの窓から風に乗ってないしょの冒険にでかけるお話です。
「子どもたちに原作に接してもらうきっかけになればと思って描きました」と石川さん。
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そして、『カイト』のカバーをとると・・・
青い絵本が現れました。
講談社
女の子ハルが、カイトを高く飛ばそうと糸をどんどん伸ばしていくと・・・糸が切れて風にさらわれてしまいました。風に飛ばされたカイトが見たものとは・・・
子どもが一歩を踏み出すきっかけはなんだろう?
『ほんやねこ』は『カイト』ともつながっているのですよと石川さん。
また、これらの絵本を作るときは、作家、編集者、デザイナー、校閲、印刷会社がチームとなって取り組んでいるとのこと。それぞれが120%の力を出し合ってこそチームの力を100%に保つことができるとのお話は絵本作りの厳しさを垣間見た気がしました。原画は絵本になるまでの過程のひとつとのこと、たくさんの人の力を合わせて作り上げているのですね。
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そして、年明けに出たばかりの最新刊『パンケーキ100まいたべたいの』(ポプラ社)を読んでくださいました。
ポプラ社
「きょうはおいしいパンケーキを100まい、すごくたべたい日なの」女の子は、パンケーキ100枚分の材料を買いにいきました。そこへ現れたのが大きな黒猫。買い物先でもたくさんの猫たちが女の子を手伝ってくれます。お母さんが焼いた100枚のパンケーキに大満足! じーっと見つめる猫たちは・・・
だんだん増えていく猫の数、繰り返しのリズムとハッピーエンドにはならないお話・・・どこか昔話のような絵本です。
本を閉じた後、会話が始まっていくお話を作りたいと思ったと石川さん。
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最後に、石川えりこさんのデビュー作である『ボタ山であそんだころ』(福音館書店)のお話。
福音館書店
まだ若い頃、田島征三さんの絵が大好きで憧れていた石川さんは、当時絵本作家になりたい人のコンペ企画である「月刊絵本」(すばる書房)の審査員が田島さんであることを知り、田島さんに自分の絵を見てもらいたいと思って応募しました。佳作に入賞しましたが、デザイナーになりたいと思っていた石川さんは絵本作家の道を選ぶことはありませんでした。
その後四半世紀ほど経ち、田島征三さんと再会します。田島さんは石川さんのこと、炭鉱の絵のことを覚えていてくれました。そして、炭鉱での暮らしをタブローとして描き個展を開くことになりました。
子どもだった頃の炭鉱の風景、炭鉱で働いている人や子どもたちのことは映像として頭の中に浮かんだそうです。その後、2014年に福音館書店から絵本として出版され、石川えりこさんは絵本作家としてデビューすることとなりました。このような経緯でできた『ボタ山であそんだころ』は2015年第46回講談社出版文化賞絵本賞を受賞、2015年BIB(ブラチスラバ世界絵本原画展)出展作品となりました。『ボタ山であそんだころ』は石川えりこさんの原点といえる作品なのです。
現在、『ボタ山であそんだころ』は版元で品切れとなっています。残念です。
皆さんと談笑しながらのサイン会
『きつねの木』の読み語りから始まって最新刊の『パンケーキ100まいたべたいの』、そしてデビュー作の『ボタ山であそんだころ』のお話をお聞きすることができました。
デビュー作の『ボタ山であそんだころ』から全ての作品の根底に流れている思いは変わらないというお話が印象的でした。
石川えりこさん、講談社の編集者 渡辺由香さん、参加くださった皆さん、ありがとうございました。










