斉藤倫/作 くりはらたかし/画 福音館書店 本体1300円
クリスマスが近づくと、セロは寂しかった。クリスマスの日はいつも、お父さんは留守で、お母さんはデパートのお仕事。さみしくて、さみしくて、胸に冬の風が吹き込むようでした。「クリスマスなんて、だいきらい」
10歳になったセロにお母さんが打ち明けたお父さんの秘密とは? その秘密のためにセロはいつも孤独なクリスマスを過ごしていたのです。
ある日、セロは、公園でジュナという少女に出会いました。ジュナはこの町に引っ越してきたばかりで、おばあさんと二人きりで川沿いのアパートに住んでいます。セロが、この町で初めての友だちになりました。
ある日、「サンタなんて、もう、いないのさ」と言うセロに、ジュナは、
「そうかもしれない」「それでも、わたし、サンタさんが、いたらうれしい」
「かぞくでもないのに、どこかで、だれか、見まもってくれるひとがいる。そうおもえるから」
そんなジュナの言葉を聞き、セロは気付きます。「きれいなかざりなんか、いらない。ごちそうも、にぎやかなふんいきも」「ぼく、わかったよ。そんなの、クリスマスとは、ひとつも、かんけいないんだ」
そして、セロがジュナのためにお父さんと一緒にしたこととは・・・
クリスマスにふさわしい心温まる物語です。
*『とうだい』『どろぼうのどろぼん』『せなか町から、ずっと』(いずれも福音館書店)の斉藤倫さんと『冬のUFO・夏の怪獣』(ナナロク社)のくりはらたかしさんの素敵な絵本です。