リディアのガーデニング

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サラ・スチュワート/文 デイビッド・スモール/絵 福本友美子/訳 アスラン書房本体1600円

花や植物が咲きほこるこの時期に、おすすめしたい一冊です。表紙は一見地味ですが、静かに心を打つ私のお気に入りの絵本です。

舞台は1930年代のアメリカ、大恐慌のさなか、少女リディアは家の事情がよくなるまで、町でベーカリーをしているおじさんのところで暮らすことになりました。ベーカリーの仕事を手伝いながら、庭仕事が好きなリディアは持ってきた草花の種を蒔き、育てます。リディアの育てた花は、やがて店を花盛りにし、お客さんたちにも喜んでもらいました。皆から「ガーデニングのリディア」と呼ばれるようになります。そして、ちっとも笑顔を見せないおじさんを笑わせようとリディアが考えた秘密の計画とは・・・

種を蒔き、肥料や水をやりながら植物を大切に育てることを通して、リディアはまわりの人との関係をも育んでいったのです。

この本の文章はリディアが家族にあてた手紙で語られているので、読者にはリディアの声が聞こえてくるようです。見返しから物語は始まり、文章のないページもイラストが表情豊かに物語っているので、本を閉じた後、まるで一編の映画を見たかのような深い感動でいっぱいになります。

 

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