11月18日(土)の午後、『かるがものクッカ』(アリス館)の作者 箕輪義隆さん(絵)、かんちくたかこさん(文)、川嶋隆義さん(編集)、そしてスペシャルゲストに鳥類学者の川上和人さん(監修)をお迎えして、ギャラリートークを開催いたしました。
『かるがものクッカ』は、アリス館の「鳥のおはなし絵本」シリーズの第3巻として2022年に刊行されました。スタジオ・ポーキュパイン が初めて手がけた絵本のシリーズで、2013年に『つばめのハティハティ』、2020年に『すずめのまる』、2022年に『かるがものクッカ』がでました。
『つばめのハティハティ』の本を持ってお話をするスタジオ・ポーキュパインの川嶋さん
企画・編集のスタジオ・ポーキュパインの川嶋さんが、絵を担当する箕輪さんにつばめの絵本を作りたいと話を持ちかけたのが2005年頃。川嶋さんと箕輪さんは大学の同級生です。題材をツバメにしたのは、身近な鳥としていろいろな物語に登場するのに、次第に数が減っていき、特に都市部で見ることが少なくなってきています。このままでは、ツバメはお話の中だけの鳥になってしまうかもしれないという危機感を抱きました。ツバメのことを知ってもらい、好きになってもらえる絵本を作りたい、ツバメが暮らしやすい未来がやってくるように、そんな願いからこのシリーズがうまれました。
その後、文章でかんちくさんが加わり、アリス館さんから本が出ることになりました。箕輪さんと学会で繋がりがあった鳥類学者の川上さんが監修で加わりました。素晴らしいチームが誕生したのですね。
そして、2013年に刊行されたのが『つばめのハティハティ』でした。
ハティハティはつばめの男の子。遠い南の国からやってきて、故郷の日本で子育てをします。冒険と、家族の絆の物語です。
その後、2020年には『すずめのまる』が刊行されました。
まるちゃんは生まれたばかりのスズメの子。いつも元気に頑張ります。子スズメの自立の物語です。
そして、2022年に『かるがものクッカ』が刊行されました。
クッカは、かるがもの女の子。ほかのきょうだいたちより、ちょっと遅れてしまうクッカちゃんですが、お母さんにいろんなことを教わりながら大きくなります。親子の愛情の物語です。
そして、今回の『かるがものクッカ』のお話に入りました。
かんちくさんに読み聞かせをしていただきながら、カルガモのこと、鳥のことを箕輪さんと川上さんがお話ししてくださいました。
カモの翼鏡を手にする川上さん
いろいろなカモの翼鏡(次列風切付近の金属光沢のある部分)
印象的なのは、自然の厳しさを伝えてくださったことです。絵本の中に出てくるひなが別の家族に入ってしまう「ひなまぜ」も、自分の子どもを生き延びさせていくための進化なのだそうです。
カルガモのひなが全滅というのも珍しいことではないとのこと・・・厳しいですね。
お話の後の質問コーナーでも、たくさんの質問が出ました。子どもたちからもたくさんの質問が! 先生方が真剣に答えてくださいました。
質問コーナーの後は、サイン会。
本だけでなく、トートバッグやサコッシュにもサインをしていただき、子どもも大人も大喜び。
皆さん、嬉しそう〜
左から、かんちくさん、箕輪さん、川上さん、川嶋さん
子どもからの「スランプになった時、どうしますか?」という質問に、「う〜ん」と考え込む箕輪さん、そしてぽつりと「鳥を見に行きます」。鳥の絵を描いていてスランプに落ち込んでいるのに・・・本当に鳥が好きなのですね。箕輪さんの誠実な絵のままのお人柄が伝わってきました。
川上先生は、さすがNHKの「子ども科学電話相談」の先生! お話が面白いうえにわかりやすく、鳥のことをもっと知りたいなと思いました。
スタジオ・ポーキュパインの川嶋さんとかんちくさんは、実はご夫婦です。だから息もピッタリ。生きものが大好きなお二人はいろいろなアプローチで私たちに自然の姿を伝えてくれています。昨年の夏の「ほうさんちゅう」のイベントも面白かったです!
「鳥のおはなし絵本」チームの皆さん、次はどんな鳥の絵本になるのでしょうか? 楽しみにしています。
箕輪義隆さん、かんちくたかこさん、川嶋隆義さん、そしてスペシャルゲストの川上和人さん、アリス館さん、ありがとうございました。
参加くださった皆さん、ありがとうございました。
原画展は、11月26日(日)まで。
可愛いクッカちゃんに会いにきてくださいね。お待ちしています🦆