10月22日(土)の午後、『なきむしこぞう』の作者の今村葦子さんをお迎えしてギャラリートーク「おはなしのうまれてくるところ」ーことばの力とこどもの想像力ーが行われました。酒井駒子さんの絵に囲まれた中で、今村葦子さんのおはなしを伺いました。
最初に、絵画にも詳しい今村さんは、それまでの日本の絵本にはなかった酒井駒子さんの画法についてお話しくださいました。そして、今の子どもたちについてのおはなしがありました。私にとって印象的だったのは、
「昔は、おじいちゃんやおばあちゃんがいて無条件のやさしさや安心感の中で育ち、生きることの多くを学んできたが、勉強を強いられる今の子どもたちは、昔の子どもたちのように大人になるための予習となるような経験ができていないのではないでしょうか。」
「子どもたちの活字離れは、つまり心のやせ細りであること。人がつまずいた時、立ち上がらせることができるのはその人の心であり、その心がやせ細っているということなのです。」
「一冊の本は一つの心です。人生の真を見据える心です。」
「本は心にまかれる一粒の種のようなもの。一粒の種のようなおはなしを書いていきたい。」
今村葦子さんの語り口は静かで淡々としたものでしたが、子どもについての芯のあるおはなしは、私たちの心に深く届きました。笑いあり、涙ありのあたたかい時間を皆さんと一緒に過ごすことができました。
今村葦子さん(中央)を囲んで、理論社の林さん(左)と種村(右)
今村葦子さんは、凛とした佇まいが美しい方でした。
今村葦子さんからいただいたお花
*今村葦子さん、理論社さん、参加くださった皆さん、ありがとうございました。
*今回、今村葦子さんのおはなしを伺い、私も子どもに本を手渡すことの道標を教えていただいたような気がします。