7月22日(土)の午後、なかがわちひろさんとコヨセ・ジュンジさんをお迎えしてギャラリートーク&サイン会が行われました。
今年で10周年を迎えた「おたすけこびと」シリーズですが、その誕生のきっかけは・・・
ゴミ収集車が好きだった息子さんを見て、なかがわさんは働く車の絵本を作りたいと思ったそうです。そこで生まれたのが、男の子の好きな恐竜と働く車が登場する『きょうりゅうのたまご』(徳間書店)。その絵本を描くために取材に行ったのがコマツテクノセンターでした。その頃、お子さんのお誕生日にはケーキを作っていたなかがわさんは、重機の動きを見ているうちに「ケーキを作っているみたい!」。そこで「働く車、こびと、ケーキのお話」の発想が生まれたそうです。
でも、働く車を描くことにためらいがあったなかがわさん、そこで白羽の矢が立ったのがその頃オートバイの絵を描いていたコヨセさんでした。幼稚園の頃に『ちびくろさんぼ』『はなのすきなうし』『ちいさいおうち』などが好きだったコヨセさんは絵本の世界に興味があったそうなので、嬉しい出会いだったのですね。
(幼稚園で刊行されたばかりの岩波の子どもの本に出合っていたコヨセさん、羨ましい!)
でも、『おたすけこびと』が出来上がるまでには4年という年月がかかりました。なかがわさんは「ケーキの作り方」と「こびとに顔をつけること」ということにこだわりがありました。そこでコヨセさん、徳間書店で実際にケーキを作ったそうです。
そんな苦労の末に出来上がった『おたすけこびと』は、今では日本だけでなく中国、台湾、アメリカ、ドイツ、フランス、タイなど7カ国で読まれています。
その後、シリーズそれぞれのこぼれ話を伺いました。徳間書店の編集者さんを交えたお話はまるで「おたすけ会議」を垣間見ているようでした。
ケーキの作り方もそうですが、ハムスターの回し車を作ったり、ハムスターやカメを実際に飼って観察したり・・・ひとつひとつ実験して確かめながら創作しているそうです。「ファンタジーのリアリティを厳しく追求している」ことがよくわかりました。
なかがわさんからの「おたすけこびとに報酬は?」という問いかけに「報酬? いらないんじゃないですか。」と答えるコヨセさん。幼稚園の子が大人の真似をして働くのが楽しいように、働く楽しさを伝える絵本でよいのではないか、というコヨセさんの言葉が印象的でした。
仕事が完了して、依頼主の喜ぶ様子をそっと覗き込むこびとたちの表情がそのことを物語っていますね。
そして、最後は、なかがわちひろさん作詞・作曲の「おたすけこびとのうた」を踊りとともに楽しみました。
♪・・・おたすけこびとにおまかせさ♪
♪ ホイ ♪
楽しいトークの後は、サイン会。
ひとりひとり、丁寧に語りかけながら
笑顔がこぼれます
中庭では、子どもたちが退屈しないようにと、なかがわさんが用意してきてくださった「おたすけこびとのパズル」。
うーん、これはどこかな?
できた!
*今回のギャラリートーク、楽しいお話の中にも真剣で丁寧な作品作りの姿勢が伝わり、「おたすけこびと」シリーズが10年にわたり、子どもたちに人気なのもよくわかりました。
*なかがわちひろさん、コヨセ・ジュンジさん、徳間書店さん、そして、お越しくださった皆さん、ありがとうございました。
*「おたすけこびとのにちようび」原画展、8月6日(日)までです。かわいいこびとたちの活躍を見にいらしてくださいね。
*サイン本も、ありますよ。