4月11日(木)の午後4時過ぎに、『ちいさなあなたへ』(主婦の友社)の作者 アリスン・マギーさんと訳者 なかがわちひろさんがティール・グリーンにいらしてくださいました。
日本では2008年4月に刊行された『ちいさなあなたへ』は、当店の棚の定位置にいつも存在し、たくさんの方に手渡してきた絵本のひとつです。その絵本の作家アリスンさんが初来日し、書店訪問としてティール・グリーンにも立ち寄ってくださいました。
中庭も開放しなくてはならないほどたくさんのファンの方が集まってくださいました。
アリスンさんは挨拶の後、しっとりとした落ち着いた声でゆっくりと『Someday』を朗読してくださいました。私たちに視線を向け、ほとんど暗誦のようでした。
この詩が生まれるきっかけは、アリスンさんの子どもたちがまだ小さかった頃のある夜のこと、ドアのそばに立って娘さんが寝ている姿を見ている時とのこと、自分がどれほど子どもたちを愛しているかを考え、そのままキッチンへ行き子どもたちへの夢を綴った“Someday”という詩を作ったそうです。
人生は幸せや喜びだけでなく、苦しみや悲しみがあることも真実。だから、「ほのぐらい もりへ さまよいこむことも あるかもしれない。」し、「かなしい しらせに みみをふさぎたくなる ひも あるだろう。」というページがあるのです。そして、子どもたちは人生において苦しみや悲しみと出会い、乗り越えることで強くなれるのですと語るアリソンさん。そこには、いつも子どもを見つめる母のまなざしを感じます。そのまなざしが私たちの心をつかむのでしょう。
お話を聞いているうちに涙ぐむ方も・・・
今回の来日に合わせて復刊した『きみがいま』(ピーター・レイノルズ/絵)や、たくさんのファンの声から復刊が実現した『たくさんのドア』(ユ・テウン/絵)の朗読も堪能しました。
アリスン・マギー/ぶん ピーター・レイノルズ/え なかがわちひろ/やく 主婦の友社
アリスン・マギー/文 ユ・テウン/絵 なかがわちひろ/訳 主婦の友社
そして、アリスンさんは本国アメリカでは小説家・詩人として評価が高いそうで、まだ翻訳されていない“Shadow Baby”のお話やあすなろ書店から出ている『ホイッパーウィル川の伝説』の興味深いお話もありました。
キャシー・アッペルト&アリスン・マギー/著 吉井知代子/訳 あすなろ書房
そして、アリスンさんの妹 ホリー・M ・マギーさんの『いっしょにおいでよ』の絵本の紹介もしてくださいました。
ホリー・M・マギー/文 パスカル・ルメートル/絵 なかがわちひろ/訳 広済堂あかつき
アリスンさんの子どもたちに向けられたあたたかく鋭いまなざしを感じたトークでした。それが『ちいさなあなたへ』を人生がつまった深みのある絵本にしていることにあらためて気づかされました。
アリスンさんとなかがわさんのダブルサインは皆さんの宝物となることでしょう。
ティール・グリーンの前で記念の一枚、やさしく自然な笑顔が素敵なアリスンさん。
私も『ちいさなあなたへ』が出た11年前にすぐ二人の娘にプレゼントしました。上の娘はこれから母となる時、下の娘は大学生で進路について悩んでいる時でした。下の娘はまさしくほのぐらい森に迷い込んだ心境の時だったそうです。二人ともこの絵本を身近に感じ、月日の流れとともに傍にある本となりました。今回、アリスンさんにお会いできたことをとても喜んでいました。
人生には喜びや幸せだけでなく苦しみや悲しみがあり、それを受け止め、乗り越えることで人生が豊かなものになることを絵本を通して語りかけるアリソンさん、芯のある素敵な方でした。
アリスン・マギーさん、なかがわちひろさん、日本ユニ・エージェンシーの小山猛さん、主婦の友社さん、ありがとうございました。そして、お越しくださったたくさんの皆さん、ありがとうございました。