10月2日(日)、秋晴れの空の下、岡本雄司さんをお迎えしてギャラリートークが行われました。たくさんの電車好きの親子さんが集まってくださいました。
まず、『でんしゃすきなのどーれ』(福音館書店)の読み聞かせから始まりました。
子どもたちは口々に好きな電車を指差し、大いに盛り上がりました。レアな名前の電車も飛び出し、驚きました。
また、『いろんなでんしゃでんしゃ はっしゃしまーす』(アリス館)は、絵本を描くために東急線を取材したそうで、当店は東急線沿線なので馴染みのある電車や駅などが多いのではとお話しされました。「北千束駅」「大井町駅」「品川駅」など、知っている景色が嬉しいです❣
続いて、岡本さんの電車絵本の制作のお話。
担当編集者の大和田直樹さん(福音館書店)と岡本雄司さん
岡本さんは、木版画と切り貼りの技法で制作しています。その複雑な工程を実際のラフスケッチや版木や彩色した紙などを見せていただきながら説明してくださいました。中には、汚れやサビ感を表した色紙も!
膨大な時間と労力がかかる技法なのですが、岡本さんがこの技法にこだわるのは、版画で出す線が好き、版画で削っていって出す線が心地よいと話されました。また色に関しても、決めた色が画面にがんと出てくるのがよい。一枚の絵に対して何回もやり直すことによって確かな一本の線が出来上がるとのこと。そのようなこだわりがあって、今の技法で作り続けていらっしゃるのです。
お話を聞き、岡本さんの1本の線へのこだわりを知りました。そのこだわりがあってこそ、作家の思いが作品に込められ、読者に温もりを感じさせるのだと思います。
当日、参加者の男の子が岡本さんの月刊誌の『でんしゃにのったよ』(「こどものとも」2009年9月号)を持ってきてくれました。代々読まれてきたため、ボロボロになっているのですが、愛読されていることがよくわかります。唐揚げ弁当が出てくるシーンがとくにお気に入りなんだそうです。
この本は岡本さんにとって初めての絵本。岡本さんを絵本の世界に誘ってくださったのが、福音館書店の関根里江さんでした。
福音館書店編集者 関根里江さん
関根さんから、当時のお話もお聞きしました。
初めての絵本が、読者の子たちにボロボロになるまで読んでもらえていることを作家さんも編集者さんもとても喜んでくださいました。
皆さんからもたくさん質問が出て、その一つ一つに丁寧に答える岡本さん、絵本そのままの誠実なお人柄がよくわかります。
トークの後は、サイン会。
実は、岡本さんは開店時間の11時から在廊してくださり、トーク前にもたくさんのサインを描いてくださいました。
たくさんのファミリーが訪れてくださいました。
トーク後のサイン会も、大盛況。閉店時間の6時まで描き続けてくださいました。
「D51」「阪急電車」「池上線」など一人一人の希望の電車や、兄弟や家族も描き込んでくださり、世界に1冊の絵本になりました。
岡本さん、お疲れ様でした。皆さんの笑顔が輝いていましたね🌟
1冊の絵本が出来上がるまでのお話を聞き、その膨大な時間と労力に驚かれた方も多かったのではないでしょうか。
岡本さんの次回作も気長に待ちたいと思います。
岡本雄司さん、福音館書店 編集者の大和田直樹さん、関根里江さん、ありがとうございました。
お越しくださった皆さん、ありがとうございました。
原画展は、10月9日(日)まで。
9日も岡本さんは在廊してくださいます。11時から18時まで。お待ちしています!