3月26日(土)前田まゆみさんギャラリートーク

3月26日(土)の午後、前田まゆみさんをお迎えしてトークイベントを開催いたしました。

朝から雨が降り花冷えの日でしたが、たくさんの方がお越しくださり、会場は熱気に包まれました。14時からと17時からの2回、お話をしてくださいました。

まずは、『オーリキュラと庭のはなし』(アリス館)のお話から始まりました。

前田さんは20代の頃、イギリスでフラワーアレンジやガーデニングを学んでいたのですが、花の見本市などでプリムラ・オーリキュラが人気でした。専門のブースがあるくらいで、鉢植えで雛壇に飾られていたそうです。オーリキュラは、実がとれるとか薬効があるとか何か役に立つわけではないのですが、人気の花でした。地植えにすると寒さに弱いので鉢植えにして温室で育てるなど、園芸家のおじさまたちが大切に育てているを見て微笑ましく思うとともに、「オーリキュラはそのことをどう思っているのかな? 外に出たいと思っているのではないかしら?」と思ったのが、このお話の始まりでした。でも、当時は外に出たオーリキュラがどうなるのかは思いつかなかったそうです。

その後、20年ほど経った頃、前田さんご自身が様々な体験をしたこともあって、オーリキュラのその後のお話がわかるような気がしたそうです。「まるでオーリキュラから身の上話を聞いたかのように続きのお話ができました。」と語られる前田さん。そして、アリス館の編集者さんと出会い、この度の絵本『オーリキュラと庭のはなし』になりました。

前田さんご自身が絵本を読んでくださいました。

涙が出そうでしたという参加者の声も聞こえてきました。

「大切に育てられ、愛されていることが当たり前でいたオーリキュラが、やがておばあさんやりんごの木のように自分を愛してくれた人を失ってから、自分から愛し育てたいと思ったあおむしと出会ったことで生を全うできたのです。」

「他者から愛されるということ以上に自分から愛するものがあるということが自分の生きる力になる」そして「そう思えるのは人生の最初の方で様々な出会いによって、愛情をもらえたから。 絵本や児童書の仕事はそれを伝える仕事だと思っています。」と語られる前田まゆみさん。心に響く言葉でした。

そして、前田さんの最新刊の『えほん般若心経』(春秋社)のお話もしてくださいました。

この絵本は、写経をしていらっしゃる88歳のお母様のために作られたプライベートな絵本だったそうです。大学時代から「般若心経」の原文は読んでいたとのこと。「般若心経」に流れる「空(くう)」の考えを前田さんの言葉で伝えてくださいました。

そして、「『オーリキュラの庭のはなし』『えほん般若心経』、作品同士が和音のように響き合っているような気がします。」とも話されました。

会場は前田まゆみさんのお話で深い感動に包まれました。しばし余韻に浸りながら、サイン会となりました。

前田さんは最近、透明水彩でのサインがお気に入りだそうです。今回は円相に愛らしいオーリキュラを添えた素敵なサインを描いてくださいました。

一人一人とお話ししながらの贅沢なサイン会です。

 

「空(くう)」も味わい深い!

前田まゆみさんデザインのテキスタイルで作られたバッグ。とっても素敵で思わず写真を撮らせていただきました。ありがとうございます!

穏やかな笑顔が素敵な前田まゆみさん

まだまだいっぱいおはなしの種をお持ちの前田まゆみさん、これからも私たちを植物、動物、宇宙、言葉、物語、様々な世界に誘ってくださることを楽しみにしています。

前田まゆみさん、アリス館さん、そして雨の中をお越し下さった皆さん、ありがとうございました!

原画展は、4月9日(日)まで。皆様のお越しを心からお待ちしています。

 

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