8月27日(日)特別対談 松本聰美さん*上遠恵子さん

8月27日(日)の午後2時より、『ぼく、ちきゅうかんさつたい』の作者である松本聰美さんと、この本の推薦文「発見ノート」を執筆された日本レイチェル・カーソン協会会長であり『センス・オブ・ワンダー』の訳者の上遠恵子さんをお迎えし、『ぼく、ちきゅうかんさつたい』から出会う『センス・オブ・ワンダー』と題してお話を伺いました。

はじめに、松本聰美さんにこの本を書くことになったきっかけをお聞きしました。ある日、この本の冒頭のシーン、ランドセルを背負った男の子が走って家に帰り、おじいちゃんに「たいちょう、ほうこくです!」と言うシーンが、突然目に浮かんだそうです。そこから物語が膨らんでいきました。

そして、この本を書いたことで、編集者さんから『センス・オブ・ワンダー』を紹介され、初めて知ったことも。夢中になって鉛筆で線を引きながら読んだそうです。

『センス・オブ・ワンダー』の訳者の上遠恵子さん、この日、長〜い蛇の脱皮したもの、リスがかじった松ぼっくり(通称エビフライ)、鳥の巣などを持ってきて見せてくださいました。蛇は目まで脱皮するとのこと、皆、子どものように驚き、喚声をあげました。

上遠さんから、『センス・オブ・ワンダー』を訳す時のご苦労やレイチェル・カーソンの生涯消えない感性を持ち続けてほしいというメッセージをお話くださいました。

松本さんからひがしちからさんの原画についてのお話もありました。おじいちゃんの変化など松本さんが文字にしなかったところを絵で表現してくれていることが嬉しいと。「この空の場面が好きなんです。」

『ぼく、ちきゅうかんさつたい』の絵を描かれたひがしちからさんもこの日、参加くださっていました。編集者さんがこの本にはひがしさんの絵が合うはずだと思い、お願いしたそうです。作家、画家、編集者、本は3人の力が結集して出来上がっていくのですね。

ひがしさんの、ご自身が描く主人公には際立った特徴がないけれど、誰でもその子になれるような作品、誰にでも寄り添える話を創りたいというお言葉が印象的でした。

ひがしちから/作・絵 BL出版

レイチェル・カーソンのシンボルマークであるモナーク蝶についてのしみじみとしたお話や、上遠さんが翻訳した『平和へ』の紹介もありました。世の中、自分と違う人間がいても当たり前であり、平和は育てるもの、作り出すものというお言葉が心に残りました。自然への感性があってこそ、人間の世界だけでなく、すべての生き物を含めた世界の平和を育てていく人になれるのだとも。不条理なこと、戦争や政治に対しても感性を持つことが大切であることもお話しされました。

キャサリン・スコールズ/作 上遠恵子/訳  田沼武能/写真

 岩崎書店

おしまいに、『センス・オブ・ワンダー』のメインテーマともいえる一節を上遠さんが朗読してくださり、会は終了しました。

子どもたちがであう事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵を生みだす種子だとしたら、さまざまな情緒やゆたかな感受性は、この種子をはぐくむ肥沃な土壌です。幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです。(P.24)

豪華なサイン本です。

松本聰美さん・上遠恵子さん・ひがしちからさん

皆さん、素敵な笑顔です🌟

フルーツゼリーとアイスティ(アールグレー)

「Sweets Atelier 5399」小原美穂さん

子どもたちの「センス・オブ・ワンダー」(神秘さや不思議さに目をみはる感性)をいつも新鮮にたもち続けるために、私たち大人は子どものつぶやきや感動を受けとめ、分かちあう存在でありたいと思います。

松本聰美さんが書かれる物語には、「死」を扱ったものが多いそうです。この『ぼく、ちきゅうかんさつたい』でも、トモヤはおじいちゃんの死を乗り越えます。子ども達に自分のまわりにある「死」を見つめ、受け入れることによって命の大切さを知ってほしいというお言葉にも感じ入りました。

松本聰美さん、上遠恵子さん、ひがしちからさん、出版ワークスの細井美智子さん、参加してくださった皆さん、ありがとうございました。皆さんとご一緒に豊かな時間を過ごすことができたことに感謝いたします。

2015年3月に行った「上遠恵子さんのお話を聴く会」で、上遠さんとカーソンとの出会いなどをお話くださっています。旧ブログにて紹介していますので、ご覧ください。  http://tealgreen.exblog.jp/22873987/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です