12月14日(土)前田まゆみさんの読み聞かせ&お話会

12月14日(土)の午後、『くまのこ ポーロ』の作者 前田まゆみさんをお迎えしてギャラリートークとサイン会が行われました。

長年のファンの方、遠方からお越しくださる方などたくさんの方で会場は熱気に包まれました。

前半は前田さんがどうして自然をテーマにした絵本を描かれるようになったのかをお話してくださいました。

子どもの頃から絵とお話をかくことが好きだった前田さん、大学では英米文学を学びましたが、やはり絵が好きで先生について学ぶようになりました。その頃から草花を描くことが好きだと気づかれたそうです。

いろいろ進路について迷われていた時にきゅうりぐさ(胡瓜草)を見て自然の造形美に気づかされ、描き写すことが自分に合っているのではないかと思われたそうです。すると力が抜けて絵が描けるようになったと語る前田さん。

その後、結婚して京都に住み、市民農園で野菜を育てたりして・・・

1994年に刊行された『リトルガーデンブック』(ブロンズ新社)が前田さんのデビュー作となりました。まだガーデニングという言葉がなかった頃です。そして絵本との出会いが自分のライフワークになったと話されました。その後、『野の花えほん』『いきもの図鑑えほん』(あすなろ書房)など自然をテーマにした絵本が刊行されました。

前田さんからのメッセージ

「自分にできることは、身近な自然を眺めながら、その美しさを自分なりに描くことくらい。読者の方とそれを共有し、また小さな人たちが、身近な植物や動物を愛しく思ってくれる機会が増えたら良いなあと思っています。」

ここでティータイムを挟み、後半は『くまのこ  ポーロ』の読み聞かせとお話になりました。

『くまのこ  ポーロ』は『いきもの図鑑えほん』を描いていた中で取り上げられなかったものをいつか形にしたいと思い、描いた作品だそうです。

マタギと呼ばれる東北地方の猟師さんの間に伝わる「いちご落とし」という伝承が胸に迫るものがあり、ひとつのお話になりました。「いちご落とし」は子ぐまが1才半ほどになり、子別れする時期になると、母ぐまは子ぐまを木いちごのなっているところに連れて行き、夢中で食べている時にそっといなくなるというものですが、自立していく清々しさを描けたらいいなと思ったそうです。本来の自然の生態に即した形で人間界にもわかるような親子の関係を描きたかったと前田さん。くまの生態も調べ、南向きの斜面に巣穴を作ることやツキノワグマが大好きなうわみずさくらも描いてあるそうですよ。

そして、最新作の翻訳絵本『あおい アヒル』も読んでくださいました。

この作品は、認知症の祖母と暮らす作者が両親が介護する姿を見て将来自分もそのように接しられたらいいなと思い描かれたものだそうです。介護の問題に直面している人、本当の親子ではない関係にある人、自分と親・・・いろんな思いを重ねることができる絵本です。

この後、今後刊行される作品の紹介をしていただきお話会は終了しました。

一人一人丁寧にお話しながらのサイン会、皆さん嬉しそうでした。

私は『野の花えほん』で前田まゆみさんのことを知りました。繊細で可愛らしい草花の絵とともに豊富な知識がいっぱいの絵本が一目で気に入り、たくさんの方にお薦めしてきました。今回、前田さんのお話を聞き、若い頃からしっかり自分の考えを持ち、自然や絵を描くことに真剣に向き合われてきた前田まゆみさんだからこその作品であることがわかりました。「絵本に出てくる植物はほとんど食べています」にもびっくり、体を張って取材しているのですね。

『リネンが好き』(文化出版局)などでリネンブームのさきがけであり、京都にあるリネンのショップ「LINNET」の運営の他、『翻訳できない世界のことば』『誰も知らない世界のことわざ』(創元社)などの翻訳の仕事まで幅広い活躍にも驚きました。

今回、『幸せの鍵が見つかる 世界の美しいことば』『幸せを引き寄せる 月の満ちかけ物語』(創元社)もたいへん人気です。

 

前田まゆみさん、主婦の友社の白田久美さん、ありがとうございました。

お越しくださった皆さん、ありがとうございました。

原画展は、12月27日(金)まで。23日(月)・24日(火)も営業いたします。ぜひ、お出かけください。お待ちしています🦆

 

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