8月28日(月)の午後、与那国島生まれで横浜育ちの絵本セラピスト大川政代さんをお迎えして「美ら島の風〜平和への祈り〜」のトークイベントが開催されました。
大川さんがこの日に着ていらしたのは、「ドゥタティ」。与那国島の綿と麻の伝統織物です。お兄様が織った「ドゥタティ」をアレンジしたもので、とてもよくお似合いでした。大川さんは10人兄弟姉妹の7番目。与那国島で生まれましたが、横浜で育ち、高校二年生の時に与那国島に戻られたそうです。
自己紹介の後は、「沖縄クイズ*今日からあなたも島人です!!」を楽しみながら、沖縄のことを伝えてくださいました。
琉球王国だった歴史や文化、「先祖崇拝」と「自然崇拝」ご先祖さまを大事にし自然と共に生きることを大切にしながら暮らしていることを話されました。
そして、最初に読んでくださった絵本は、『おねんね さんぽ』(よぎまさゆき/さく キーステージ21)。
おさんぽ中の男の子が、牛の背中でうとうとしていると・・・お昼寝中におこる大冒険を美しい絵だけで語っています。森、海、空、美しい自然とそこに生きる生きものたちの男の子に向けるあたたかい眼差しが心地よい絵本です。
文字のない絵本なので、大川さんの三線の演奏を聴きながら絵をしっかり楽しみました。
沖縄発祥のスポーツの「空手」にちなんだ『カラテマン〜入門編〜』(やぎあきひと、ながもとみち、しろまひでき/著 絵本スタジオアコークロー)の紹介も!
与那国島のおすすめスポットや花酒の体験も。どうしてアルコール度60度の泡盛をつくることができるのか、「洗骨」という文化風習についてもお話ししてくださいました。文化や歴史を支えてくれているお酒なのです。舌の上にのせた花酒は、思った以上に口の中にぱあっと広がり、溶けてなくなるという感覚でした。こんな感覚、はじめてでした。
洗骨の後に、祀られているご先祖さまの一人一人にお膳のお料理を用意して、皆で共に食べるとのこと、実際のお写真を見せていただき、本当にご先祖さまを大切になさっていることに感動しました。
そして、『いのちのまつり ヌチヌグスージ』(草場一壽/作 平安座資尚/絵 サンマーク出版)を読んでくださいました。
「ぼうやにいのちをくれた人は誰ね〜?」
大川さんが島のおばぁになりきり、ぼうやにいのちやご先祖さまの大切さを語りかけます。
あっと驚く仕掛けもあり、皆さんからも思わず声が!
そして、最後に与那国島にも自衛隊の基地があるという沖縄の今を伝え、『へいわってすてきだね』(安里有生/詩 長谷川義史/絵 ブロンズ新社)を読んでくださいました。
2013年6月23日、沖縄県平和祈念公園での戦没者追悼式で朗読された6歳の男の子の「平和への思い」の詩は、まっすぐ私たちのこころに届く力強さがあります。大川さんの声にも力がこもっていました。
そして、参加者の皆さんに大川さんの妹さん(鈴木めぐみさん)が作ってくださったサーターアンダギー(砂糖天ぷら)と黒糖パンをお土産にプレゼントしてくださいました。与那国島の黒糖を使っているからでしょうか? とってもやさしい味がしました。
余談ですが、大川さんの旧姓は田島さん、10人兄弟姉妹の7番目、そして妹さんのめぐみさんは10番目の末っ子さんです。田島さん姉妹は大変仲が良く、今回もお二人でさんぴん茶や花酒、砂糖天ぷら、黒糖パンなどたくさん用意してくださいました。きっとご先祖さまも応援してくださっていたのでしょうね。仲の良いお二人の会話や様子を見ているだけでなんだか心が温かくなりました。
沖縄クイズ、与那国島の映像、絵本の読み語り、三線の音色を楽しみながらも、沖縄の方たちの暮らしを通して私たちが大切にしなくてはならないことに改めて気づかせてもらいました。そして、このような暮らしが続くよう平和を心から祈ると共に自分に何ができるのかを考えたいとも思いました。
参加者の皆様からも、またお話を聞きたいというご要望も!
大川政代さん、鈴木めぐみさん、ありがとうございました。
参加してくださった皆さん、ありがとうございました。