12月5日(日)の午後、『あかいてぶくろ』の作者 いりやまさとしさんを迎えしてギャラリートークが行われました。
いりやまさんが奏でるギターの音色で皆さんをお出迎え。やわらかい空気が流れます。
「ぴよちゃん」シリーズ(学研)「パンダたいそう」シリーズ(講談社)などたくさんの人気シリーズの作者 いりやまさとしさんの絵本は、ご自身の家庭生活、お子さんとのやりとりなどから生まれているのだそうです。だから皆さんの共感を得てロングセラーになっているのですね。そんな人気作家のいりやまさんが昨年秋に刊行された『あかいてぶくろ』(講談社)は、よりパーソナルなお話でした。
大切な奥様を3年前に病気で亡くされました。想像をはるかに超える強い喪失感があり、現実を受けとめることができず、世界がモノクロに見えたそうです。それでも二人の息子さんの世話や家事に追われる日々のなかで、ふと「片っぽだけの手ぶくろ」というモチーフが浮かびました。二つで一つが当たり前だったのに、急に自分が片っぽの手ぶくろになったような気がして。
絵を描くことで自分の魂を鎮めていました。最初は、結末もできてないまま、街の中をもう片方の手ぶくろを探してさまようシーンばかり描いていたそうです。でも、息子さんたちとおかあさんとの楽しかった時間を話すうちに心が癒され、絵本の後半部分が見えてきたとお話しされました。
そのような創作秘話を伺った後、いりやまさんご自身が『あかいてぶくろ』を読んでくださいました。いりやまさんの一言一言が心に響きました。
絵本にならなかった場面やラフスケッチもたくさん見せていただいたり、画法についてもお話ししてくださいました。
小さい子たちは手ぶくろの話として読んでくれるでしょうし、大人は手ぶくろに人間を重ねて読んでくれるかもしれない、同じ経験をされている人々と分かち合いたいとお話しされました。
いりやまさんの他の作品についても、絵本に託す思いをお聞きしました。
『マスクをとったら』を読んでくださるいりやまさん
とくに『ポケットねこ』(講談社)は、最初全くちがう物語だったのが、こんなにかわいいあかちゃん絵本になったのですが、その変遷が大変興味深かったです。あかちゃん向けの可愛いねこのお話ですが、その後ろには深い世界が広がっていることに驚きました。
参加者の方からは、いつか最初のお話も絵本にしてほしいという希望の声もでました😀
今後、取り組みたい作品の構想も、子どもたちを応援するもので、とても楽しみです。
最後に、高校時代からバンド活動をしていらしたいりやまさんのギターの生演奏も! 素敵でしたよ 🎸 ✨
トーク後のサイン会も大盛況でした。
「ぴよちゃん」「パンダたいそう」、小さい子たちにとってはおなじみの絵本ですね😄
『あかいてぶくろ』を手に、いりやまさとしさん
いりやまさんは地元の作家さんなので、以前から当店のことを応援してくださり、新刊が出るとふらっと届けにきてくださっていました。いりやまさんが描くパンダは当店でも人気です。
でも、昨年の秋に届いた『あかいてぶくろ』は、今までの作品とちがっていたので驚きました。いりやまさんからのメッセージも添えられており、深い感動でしばらく言葉も出ませんでした。最後、赤い毛糸玉になった手ぶくろを捧げもつ女の子をみて、悲しみの先に希望の灯が見えたような気がしました。1年後の原画展をお願いして、今回の『あかいてぶくろ』原画展となったのです。
命のこと、家族のこと、日々の暮らしのこと、いろんなことを考えさせてくれる『あかいてぶくろ』、大人はもちろんですが、ぜひ、小さいお子さんにも読んであげてほしいと思います。何かを感じてくれたらいいなって思います。
今回、担当編集者の長岡香織さんに進行していただいたのですが、子どものための絵本を創る舞台裏を覗かせてくださり、一つの作品を創り上げる大変さを改めて知りました。
いりやまさとしさん、長岡香織さん、講談社さん、ありがとうございました。
参加くださった皆さんも、寒い中をありがとうございました。
原画展は26日(日)までです。
皆さん、ぜひお越しください。お待ちしています🦆