12月23日(土)の午後、『ちいさなトガリネズミ』の作者 みやこしあきこさんをお迎えしてギャラリートークを開催しました。
長野県に移住されたみやこしさん、元仕立屋さんだった部屋をアトリエにして創作活動をしている様子を画像で見せてくださいました。センスの良い素敵なアトリエに皆さんうっとり!
信濃毎日新聞に月に1回掲載されている朴沙羅さんのエッセイ「思索のノート ヘルシンキ多様性日記」に挿絵を描かれているのですが、その絵をいくつか見せていただきました。挿絵はみやこしさんに任されているそうで、素敵なタブローばかりです。
みやこしさんは普段の生活で目にした印象的な風景や心が動いた瞬間の絵を描きとめており、絵からお話が広がっていって絵本になったり、絵と絵が繋ぎあわさって絵本になることもあるそうです。
トガリネズミもそんな1枚の絵から広がったお話なのだそうです。
2008年にドイツで暮らしていた時に仲良くなった友人を、南ドイツに訪ねて行き、森を散歩していた時にトガリネズミのなきがらと出会いました。その繊細で美しい毛並みが心に残り、のちに傘を持つトガリネズミの絵を描きました。それ以来、このひとはどんな暮らしを送っているのだろうなどキャラクターが育っていったのだそうです。
その後、福音館書店の「母の友」で「ちっちゃなごはん会」という短い童話になり、さらに昨年11月に偕成社から3話のお話が入った『ちいさなトガリネズミ』として刊行されました。長い時間をかけて熟成されたお話だったのです。
画材や画法についてもお話ししてくださいました。最初、ビンテージ感を出したくてリトグラフで描き始めたのですが、途中でリトグラフができない環境になったこともあり、水彩と木炭の描き方に落ち着きました。
水彩に木炭の絵(左)とリトグラフの絵(右)
そして、判型、窓枠の空いたカバー、カラーとモノクロのページなど、こだわりをもった絵童話となりました。いつもとちがうことをやってみようという編集者さんとデザイナーさんとの連携も素敵です。とってもこだわっているのに「さりげない本にして、この世界を差し出したい」というみやこしさんの言葉が印象的でした。
今回のクリスマスカバー版も、シックでさりげなくとても素敵ですよね。2冊目、3冊目を購入される方もいらっしゃいました。
クリスマスカバー版
これからの作品のことをお聞きしたり、皆さんからのたくさんの質問にも丁寧に答えてくださいました。
トークの後はサイン会。
限られた時間でしたが、ギリギリまで一人一人、お話ししながらサインを描いてくださいました!
みやこしさんの絵本創りのお話を伺っていると、1冊1冊、時間をかけて丁寧に創られていることがよくわかります。だからこそ、静かでさりげない本なのに、匂いや音や空気感まで伝わってくるのがすごいなっていつも思います。
これからも、自然豊かな長野県での暮らしからどんなお話が生まれてくるのか、とっても楽しみです。
最後に慌てて記念撮影をしていただきました。
雪が降ってきたようなおしゃれで素敵なワンピースがよくお似合いのみやこしあきこさん。
原画展は、12月25日(月)で終了いたしました。
2023年の当店の営業も25日まででした。
トガリネズミさんのおかげで、ティール・グリーンも「うん、いいとしだった」。
みやこしあきこさん、偕成社さん、そしてお越しくださった皆さん、心よりありがとうございました。
2023年も皆さんの応援のおかげで、なんとか無事に過ごすことができました。ありがとうございました。
皆さん、健やかに良い年をお迎えください。
*新年は、1月11日(木)から営業いたします。
*2024年から、定休日が月・火・水曜日の3日間になります。ご注意ください。
どうぞ宜しくお願いいたします。