2月23日(土)の午後、『トコトコバス』(講談社)の作者の高橋和枝さんと編集者の長岡香織さんをお迎えしてギャラリートーク&サイン会が行われました。高橋和枝さんの絵本のファンの方で会場はぎっしり、皆さんの熱気に包まれました。
まず、高橋和枝さんが静かな優しい声で『トコトコバス』を読んでくださいました。
「トコトコトコ・・・」心地よい響きで、一緒にバスに乗っているような気持ちになりました。
高橋さんのデビュー作の『くまくまちゃん』(ポプラ社)は大人向けの絵本。その後に刊行された子ども向けの絵本『なにたべてるの?』(いちかわけいこ・作 アリス館)、タイプの異なる二つの絵本との間で揺れ動き、いつかこの二つが融合された絵本を作りたいと思ったそうです。
その後、高橋さんが個展のために描いた1枚の絵「夜のバス」。この絵が『トコトコバス』の出発点となりました。
『トコトコバス』が完成されるまでには様々な逡巡があったと話す高橋さん。でも、「いつも長岡さんが近くで寄り添っていてくださった」とも。
岩絵の具で描くことになったのですが、それからも逡巡がありました。ある時、切り抜かれたものを貼ったラフを見て、「現代美術のようなポップさを感じました」と長岡さん。重厚さ、深刻さから少し軽さが出て、バスが主役に躍り出た瞬間だったそうです。
今回、一冊の絵本ができあがるまでの作家さんの逡巡とそこに寄り添う編集者さんのやり取りを垣間見ることができ、ますます作品が愛おしく思えました。
「もっといろんなことができるかもしれないと思うようになりました。」とおっしゃる高橋和枝さんのこれからの作品がますます楽しみです。
真摯に絵本作りに取り組まれている高橋和枝さんのお話を聞き、高橋さんの絵本は子どもばかりでなく大人のファンが多いのにも納得しました。
今回の原画展では、「ぬって、きって、はって」の手法を間近に見ることができます。原画展は3月10日(日)まで。皆さまのお越しをお待ちしています。
高橋和枝さんと長岡香織さん
高橋和枝さん、長岡香織さん、そしてお越しくださったたくさんの皆さん、ありがとうございました。