3月11日 いせひでこさんの『たぬき』

 

2011年3月11日の東日本大震災から11年…

震災の直後、被災地の子どもたちに何とか希望を届けられないかと考えたいせひでこさんは、植物の種や芽吹きにいのちを託して『木のあかちゃんズ』(平凡社)を緊急出版し、被災地の子どもたちに手渡しました。絵本とともに一人一人にメッセージをかいたカードも一緒に。

いせひでこ/作 平凡社

そして、震災から10年後の2021年の秋に『たぬき』(平凡社)が刊行されました。

いせひでこ/作 平凡社

2011年の春、絵描き いせひでこさんの家の庭に現れたたぬきの一家。

3月11日の震災の日から始まった「地震日記」は、やがて〈たぬ記〉という観察日記になり、たぬきの家族の物語が綴られます。

産んで育てて、弔って、旅立つ… たぬきの家族の“ いのち” の物語です。震災後10年を経て絵本になりました。

痛みの伴わない「生きる」はない、「あるがままのいのち」を描きたい…  (婦人之友 2022年3月号より)

表紙のたぬきの子どもたちがじっと見つめる先には何があるのでしょうか?

絵本の最後に、朝靄の中をこだぬきたちは旅立っていきます。 生きるためにー

震災から11年の2022年、被災地の方の哀しみや、その上不安定な世界情勢を思うと悶々とする日々ですが、それでもたぬきたちが生きるために旅立っていったように、私たちもたぬきについていきたいと思います。

2022年の3月11日、いせひでこさんの『たぬき』を読みながら東北やウクライナに思いを馳せました。

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